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「新世界より」
作者は貴志 祐介。 文庫3冊で長いんだけど、あっという間に読めた。 よく練られた世界と、人物像。謎と設定。 現代文明が頽廃した後、わずかに生き残った人類が生きる未来の世界。この辺はナウシカと似てる。 舞台は1000年後の日本。 科学文明は滅び、生き残ったわずかな人類は呪力という超能力を得ていた。 呪力は念動力のことである。周囲のものに力を及ぼし、モノを動かしたり、光を作ったり、飛んでくる矢を止めたり、さらに特に呪力の強い人間は、自分が宙に浮いたりすることができる。 かつては、呪力を覚えた人間と、覚えていない人間の間で大戦争が起こり、呪力を持つ人間が残った。 呪力を持つ人間は、他の人間を殺してはいけない愧死機構が遺伝子に埋め込まれている。人間を殺したことを脳が認識すると、愧死機構が発動し、その人間は心停止して死んでしまう。だから人間は殺人を犯すことができない。 また、突然変異によって業魔と悪鬼という人間が生まれることがある。 業魔は、自身の呪力が周囲に溢れ出し、周りに天変地異を起こす危険な存在。自分でそれを止めることができない。 悪鬼は、愧死機構が働かなくなった人間で、理性が無く周囲の人間を次々と殺していく最も恐ろしい存在。これが現れると必ず大勢の人間が殺されてきた。しかも、普通の人間は愧死機構が働くため、悪鬼を殺すことができない。 人間の住む町の周囲には、バケネズミと呼ばれる種族が生きている。 大きさは人間の子供くらいで、知能は人間と同等程度ある。言語能力も有しており、さらに一部のバケネズミは人語を解する。 バケネズミはコロニーを作って高等な社会生活をしている。戦闘能力もあるが、人間の呪力の前には無力であるため、常に人間の決めたルールの下で生きている。 文庫では上中下3巻構成。 上巻は冒険活劇風。主人公の少女と友人たちが、バケネズミの戦争に巻き込まれる。 中巻下巻は詳しく書かないが、世界の設定を巧みに使ったストーリーが展開される。 この作者のミステリーの中でも最も面白いと評されている。 読んでいると止まらなくなる。 ちなみにタイトルの由来は、ドヴォルザークの「新世界より」から採られている。 ドヴォルザーク:交響曲第8番&第9番「新世界」 前文明の謎や、今の文明の成り立ちに迫っていく感じは、漫画版ナウシカを思い出した。 読んでいて続きが気になる度は「新世界より」のほうが上。 ナウシカはだんだんストーリーやナウシカの考え方についていけなくなるけど、「新世界より」は最後まで読者を引っ張っていってくれる。 PR |
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